悩み迷う
独立計画中の立花くんからオファーをもらって悩みに悩んでいた私。
半年前から何かと相談にのってもらっていた、元社員で既に独立している人に話してみた。
私とボスとの間柄をよく知っている人だったので、ボスへ直訴してみようと思っているんだけど、勝算はあると思うか、その点を相談した。
そしてアドバイスをもらったのは、おそらく悪いようにはしないだろうけれど、どちらにしても自分の意志を明確にしなきゃいけないってこと。
残留するにしても、現状維持は会社のシステム上、難しい。じゃあどうするのか。どうしたいのか。
本格的に残留のために動くなら、残った後のことを明確にして話をもっていかないと難しいんじゃないか。
もしくは独立予定の社員からのオファーを受けるとしても、それが本当に良い選択なのか。他にも選択肢はあるんじゃないのか。
ひとつの決断
ますます悩みが深まる。残留できたとして、その後のこと。オファーを受けた時のこと。まったく新たな場所に転職したときのこと。
悩みに悩んで、悩み抜いてひとつだけ結論が出た。独立予定社員からのオファーは辞退しようということ。
結果的にタイミングが合えばお願いすることになるかもしれない。だけど、やっぱり今は、最後までフラットな気持ちで闘いたい。
オファーは辞退して、本格的に残留のために動く。それが、残り半年を過ぎた私の選択。
始動
現場の人に話をすると、誰もに質問を受けた。当麻さんは私の状況と意志を知っているのか、と。私が思っている以上に、当麻さんへ話すことは大事なことなのかもしれない。
今の私なら、会社を通さずとも、個人的に当麻さんに話を聞いてもらう機会は作ることができる。話を聞いてもらえるほどには信頼関係があると確信している。
だけど私のために動いてくれるのか、会社の規則や慣例を曲げてまで、私を守ってくれるのか、私を必要としてくれるのか、さすがに自信はない。
現在進行形で大事な仕事を一緒にしているのに、自分のことで気まずくなったり仕事がやりにくくなったり、当麻さんに気を遣わせてしまったりすることが、私は一番こわい。
最後の砦
私が職場で最も信頼していて、当麻さんと話す時は絶対に一緒にいてもらいたいとずっと考えていた、女性上司の朋子さんに初めて相談をした。
朋子さんは当麻さんの部下でもあり、役職者でもあり、帰国子女で、情熱家で、まさにキャリア・ウーマン。面倒見もよく部下から慕われている。私にも普段からすごくよくしてくれる。
朋子さんにもやはり質問を受ける。「当麻さんとは話をしたのか」と。
会社の問題とはいえ、やはり当麻さんの後押しがあるのと無いのとでは動き方が変わる。差し支えなければ自分が当麻さんと話してみるけれど、それで良いか、と言ってくれる。
私は答える「朋子さんのご判断で、善処いただければと思っています」と。
これからどうなるんだろう。当麻さんから直接呼び出されるだろうか。それともあっさりと終了になるのか。
もう後戻りはできない。どんな運命にも、立ち向かわないといけない。
賽は投げられた。