再会
夏休み直前に高橋さんが珍しく誘ってくれた(自分の中では)ランチデート。夏休み明けに行こうねとは言いつつ、夏休み明けのいつなのかは不明のまま。
長い夏休みが終わって約2週間ぶりに顔を合わせる。元気そうな顔を久しぶりに見られてうれしくなる。家族旅行で日焼けした彼を見て複雑な気持ちがしつつも、やはり会えてうれしい気持ちが大きい。
高橋さんはすぐに出張で不在がちになり、二人でランチに行けたのは夏休み明け1週間後だった。
ランチデート!?
職場の既婚男性と二人でランチに行くのは特に特別なことではない。基本的には男女グループで行くけれど、場合によっては二人きりで行くこともある。
自然な感じで連れだってランチに出かける。10人程度しか入れない小さな洋風のお店。ハンバーグがおいしくていつもいっぱいだけど、少し遅めの時間だったのですんなり入る。
カウンターで横並びになる。そういえば去年二人飲みをした時も同じ距離感だった。社外で話す機会はほぼないから、リラックスできて楽しい。
夏休み中のことや仕事のことなんかを話しているとあっという間に時間が過ぎる。ランチタイムは無情にもすぐに終了してしまった。
欲が出てくる
休憩時間とは言え仕事中。心からリラックスはできない。やっぱり二人きりでゆっくり飲みたい。近々、内輪の飲み会があるから今はそれを心待ちにしている。
高橋さんはそれからまた出張でなかなか顔を見ることはできないでいる。今月は週に1~2回くらいしか出社していない感じで、とてもさみしい。
良いこともあった。高橋さんの出張続きのおかげで、今回初めて私の個人メールへ連絡をくれる機会があった。
緊急連絡先として職場で必要になってきたので新しく運用を始めたアドレスで、職場で複数人に伝えているので決して高橋さんだから伝えているというわけではない。
初めての個人メール
高橋さんが出張先から夜遅めにメールが届く。高橋さんからはもちろん会社のメールアドレスから。内容もいつも通り仕事の内容。普通のビジネスメールだ。
私もいつも通り、ビジネスメール風に返信をする。だけど、自分のスマホと高橋さんが繋がったと思うとうれしかった。
高橋さんは仕事仲間以上でも以下でもない、いたって紳士的に接してくれる。少しずつだけどいろいろ話してくれるようにはなったかなとは思えるけれど。私はそれが嬉しくもあり寂しくもある。
遠くない未来に契約期間が終わって私が退職する時、高橋さんが心から寂しく思ってくれたなら、それで自分の気持ちは報われるかな、と思う。
そのうち私に好きな人ができたとしてもそれは変わらない。私の契約期間が尽きるまで、彼のそばで、自分のできる限り力になれたらなと思う。