人生初のハーレー
本当にこの日が来るとは思ってもいなかった。先日、ハーレー乗りの彼が私にヘルメットをプレゼントしてくれて、現実味を帯びてきたツーリングデート。GW後半戦、心地好い風の吹くある夜、いよいよデート当日。
彼はまだ私の自宅の場所を知らないので、自宅近くのランドマーク的な所で待ち合わせをする。どんな感じで彼はやって来るんだろう?エンジンをぶおんぶおん吹かせながらライダースーツキメキメで登場するんだろうか。
ドキドキしながら待っていると、赤信号の奥に写真で見た彼らしきバイクを見つけた。信号が青に変わる。やはりそのバイクは私の立っている交差点の前でスピードをゆるめ、くるりと小さく一周回って私の前に停まった。
本当にハーレー乗りだった彼
ラフなシャツとジーパンで、近所のコンビニでも行くような雰囲気で私の前に現れた彼。街灯に照らされたハーレー。息をのむ私。
お待たせ、と彼がハーレーに跨がったまま近づいてくる。めちゃくちゃカッコイイ。彼がカッコイイのはひとまず置いといて、その間近で見るハーレーは、バイクをよく知らない私でもハッとするほどの美しさ。もはや芸術的に美しい。
これから自分が乗るんだと思うとドキドキが止まらなくて、まるで初恋のときめきのようにそのハーレーに魅せられていた。
いざ出発!!できるのか!?
あまりの美しさに惚れ惚れと見とれて、ぼーっとしている私。後ろ乗って?と声をかけられる。ハッとしてヘルメットをかぶる。乗ってと言われても、バイクの後ろに乗った経験など無いに等しい。
彼にエスコートしてもらって、なんとか形になる。しかしこわい。バイクの後ろにちょこんと座って、彼の肩に手をかけているだけの体勢。こんな心許ない感じで大丈夫なのか?しがみつきたいけれど邪魔っぽいし、とにかく慣れるしかない。いざ、スタート。
想像していたよりも優しいふぉんふぉんという感じのエンジン音で走るハーレー。彼の肩にかけている手に力が入る。延々とジェットコースターに乗っているような感覚。
風が流れる
街明かりがどんどん流れて風に呑み込まれていく。80㎞くらい出てるかと思いきや、周りの車を見るとけっこうのろのろと走っている。彼に聞くと60㎞くらいしか出ていないと言う。体感速度が速い。
ハーレーで60㎞で走るなんて、そんなみっともないことはさせられない。早く慣れなければ。ギャーギャー言いながらも、彼の安全運転とハーレーの安定感に安心感も出てきた。
息をすることも忘れていたけれど、信号待ちで彼と話したりしているとリラックス出来てきて、彼の肩にかけている手の力も自然と緩やかになっていった。