再会の瞬間
数年ぶりに昔の彼ジローさん(仮名)と会った。平日ということもありさくっと数時間だけ二人で飲んだ。
待ち合わせの5分前まではなんの感情もなかったのに、5分前になって急に緊張MAXになる。数年ぶりで見た目が変わっていたらどうしよう。
すごいやせたとか太ったとか髪が薄くなったとか臭くなったとか、だったらどうしよう。なぜだかネガティブな想像が全開だった。
だけどそれはたった5分間の心配で、待ち合わせ場所で私を待っているジローさんをすぐに見つけることができた。
昔のカレと今のカレ
第一印象?で率直に思ったのはやっぱりカッコイイ人。元カノのひいき目かもしれないけれど、やっぱりおしゃれでカッコイイ人だと改めて思った。
少し太っていたようにも見えたけど年齢的なものと思える範囲内。髪も昔通りで増減はしていなかったし、昔と同じほのかな香水のイイにおいがした。
いい感じにちょい悪オヤジぽくなっていて、高橋克典とジローラモを足して割ったような感じになっていた。関西風にひとことで言うと”シュっとしてる”っていうところか。仕事帰りのスーツ姿が昔同じ職場で働いていたときのことを思い出させた。
つき合っていた当時は将来有望の平社員だったのが、今では組織のトップになっていた。そう言われると貫禄がついたような、昔はちゃらちゃらしてたけどさすがにかなり落ち着いたような印象を受けた。
フラットな距離感でいたけれど、意外にもちょっとドキドキし始める。気軽な飲み屋さんで近況報告などする。同じ職場にいた関係で共通の知り合いも多い。単純に懐かしくて楽しかった。
私の友達モード全開の空気を察したのか特に深い話にはならず、ただの近況報告会となってまた飲もうねと言い合って解散した。
昔のワタシと今のワタシ
かつて大好きだった人を目の前にして感じたこと。やっぱり男性として好きな気持ちは今のところは微妙かなと思った。
一緒に過ごした5年間とその数年後に一度よりを戻した数ヶ月間。大好きで一緒にいたけれど、辛い思いもたくさんしたし、結果的に別れているわけだし。幸いなことにイヤな思い出や辛い記憶は時間薬でただの記録となっている。
ジローさんと会って思ったのは、自分は変わったなということ。つき合っていた頃の私は本当にただただ流されていた子供だった。
もともと自分の気持ちや意見を伝えるのが苦手な性格。今もそれは変わらないんだけど、ジローさんと過ごした頃はもっと若くて世間知らずで、自分を出すことができず、嫌われたくなくて合わせてばかり。
特にジローさんは自由な人で、自分の思うことをとにかく何でも投げてくる人だったから、私はそれをひたすら聞いて合わせてイエスマンで、それが彼に対する愛情だと思っていた。
結果的にジローさんにはさんざん振り回されて、私が疲れきって最終的に爆発して別れるはめになったんだけど。
だけどもっとちゃんと自分の意思をもって気持ちを伝えたり、意見をしっかりもっていればだらだらと何年もつき合って別れるような事態にはならなかったんじゃないだろうかと今となっては思う。
世間知らずだった自分も、今では多少世の中のことや自分のことや他人のこともわかってきて、少しはいろんな考え方もできるようになってきた。自分の意見も口にすることができるようになった。
ジローさんと離れていた数年間で、いろんな人に出会っていろんな考えにふれて、いろんな経験や失敗をして自分もちょっとは成長できてるんじゃないかなと思った。
そんな自分とジローさんは果たしてどうなっていくのか。ジローさんからすると昔ほど自分の思い通りにはならないだろうから、違和感があるかもしれない。
友達以上恋人未満のいい友人関係をしばらくは続けられたらいいなと思う。