昔の彼ジローさん(仮名)さんとメル友状態になっているけれど、近々、数年ぶりに飲みに行く約束をしている。
お互いそれぞれ幸せになっていていい友人として会えたらよかったんだけど、残念ながら違う。
ジローさんは私と寄りを戻したがっていて、私は迷っている。ジローさんとは一度寄りを戻して失敗した経緯があるから、私としてはいまいち乗り気にはなれない。
一度目も二度目も別れた原因は結婚のタイミングについてのすれ違い。ジローさんはどんな人かっていうと、例によって自分とは正反対の人。
何でも要領よくうまく立ち回って自分の好きに自由に振る舞える人。だけどそこに嫌味がない人。気さくで周りからの信頼も厚く、仕事もできて情に熱い。友人を大切にしているし頭の回転も速い。趣味もあって語学も堪能で学歴もよく努力も惜しみなくする。
そして初対面でも、例えばお店の店員さんとも自然に仲良くなれるような明るい性格で、陽の当たる場所を無駄なく歩いてきた人。
若いときに結婚もしている。離婚してるけど。いろいろあるけどこの人の一番すごいと思うところは、変なプライドがないところだと思っている。
自分が悪いと思ったことはシンプルに反省してやり直すし、世間体とか筋とか世の中の常識にとらわれず流されずに、自分で感じて自分で生きている。いろんなものにとらわれて生きてる自分にとって、本当にきらきらして見えている。
サラリーマンでこんなに自由に生きている人を、私は今の今までこの人以外に見たことがない。
そもそもの出会いは職場でもう10年近く前だけれど、出逢った頃のことはよく覚えている。本当に自分とは正反対の人。男性としてときめく気持ちはないけれど、人としては本当に尊敬している。
ジローさんとは友人くらいの距離感が一番いいように思うけれど、人生のパートナーとしてはこれ以上信頼できる人はいないんじゃないかと最近は思う。
大事に想っていた人に立て続けに不必要認定された今、私を本当に必要としてくれるのは後にも先にもこの世にジローさんだけなんじゃないかと
思えてくる。
そういう人がいるだけでも奇跡なんじゃないのか。男性としてときめくかどうかより人として信頼できる方が大事なんじゃないだろうか。
少なくともジローさんは私を必要としてくれていて、私を見捨てたり傷つけたりしない。
新しい出逢いを探して出逢えるかどうかもわからない人をこれから探してさまよって何年も過ぎて、この人だと思ってずっと一緒にいたいと願っても叶わず、そういうことにもう疲れた。もう落ち着きたい。
ジローさんとの将来に向けて再チャレンジする価値はあるんじゃないだろうか。天秤にかけるようなことでもないけれど、この年になって失恋するのは本当にこたえる。
もう二度と大事な人を失いたくない。誰とも別れたくない。