自分の理想の恋人像というのを彼に言われて考えていた。私は恋愛に対する理想は今は明確にもっている。
それはオシャレなレストランで誕生日を祝ってもらったり、デートをスマートにエスコートしてもらったり、何でもない日にプレゼントを贈ってもらったり、そんな恋人がほしかったわけではない。
社会的な地位や名誉やお金やそんなことでもない。昔はそういう恋人を求めていた時もあった。婚活をしていたときなんてまさにそうだ。
だけど今までいろいろと試行錯誤してきて、そういう人を求めても自分は心から幸せにいられないとそういう結論があって、その上で私は彼を選んだ。
そしてその土台があったから彼と今までやってこれた。私の理想は自分が好きだと思う人と私がこの人だと自分で決めた人と寄り添っていられること。ただシンプルにそれだけだった。
だからそのための努力は惜しみたくはなかった。彼を傷つけることもしたくなかったし、彼の負担になることもしたくなかった。
数日間二人で一緒にいるときは、彼がひとりになれる時間をもてるように一人で外出したり、外でべたべたしなくない彼の希望を知ってからは、外では軽く手をつなぐことしかしていない。
彼が出かけたいと望む場所には時間をつくって一緒に出かけたし、彼が私に対して素っ気ない言動をしても、必要以上に不安にならないように自分に言い聞かせていた。私はどうしたら良かったんだろう。
赤の他人で価値観が違うのは当たり前で、つき合っていたら何かしら絶対にすれ違う部分は出てくる。彼がもやもやしていたことを、私が察して話を聞いてあげられたら良かったんだろうか。
だけど私もエスパーじゃないし、彼もあまり不満をアピールしてくれないし、ここまで彼を悩ませて苦しめるまで私には何ができたんだろう。
逆に言うと私は彼の理想の彼女ではなかったということか。私が彼の理想の彼女だったら、そもそも彼がもやもやすることもなかったんだろうか。彼はどうして私を選んでくれたんだろう。
そしてどうして私は彼の理想像に近づけなかったんだろう。それとも彼の理想は私のいない生活だったんだろうか。だとしたらなんで私とつき合ったんだろう。わからない。
今となってはもう考えてもどうしようもないけれど。私はこれからいったいどうしたらいいんだろう。
私は今まで望む望まない関わらずたくさんの出逢いと別れを経験して、もう二度と誰とも別れたくないという強い思いと、今まで人との縁をないがしろにしてきた自分を呪ってここまでやってきたけれど、それももう終わり。
どうやっても自分は好きだと思える人と一緒にいられない。そういう人生なんだ。何をどうがんばっても私はそんなしょうもない人生を、これからも延々と続けるだけ。
もう誰も好きになりたくない。好きな人を失うのはもうたくさんだ。