デート前夜はバタバタとしていた。早く寝なきゃと思うほど眠れない。それでもなんとか眠ってデート当日。
久しぶりに会った彼を見て、自分はこの人が好きなんだなあとなんだか他人事のように思えて変な感じがした。
予定通りの秋晴れでこれ以上ないくらいのデート日和。車で少し遠出をする。隣にいる彼は本当に不思議なくらい自分に馴染んでいる感覚がある。
ずっと前からこうやって隣にいるような感覚。車内でたわいもない話やずっと聞いてみたかったこと、エトセトラエトセトラたくさん話してたくさん一緒にいた。
目的地に着いてお散歩をする。歩き出すタイミングで彼が手を差し出してくれる。すっと長くてピアニストみたいにキレイな指に少し緊張して自分の指を絡ませる。
思った通りの感覚。女性の場合、手をつないでしっくりくるということは、その人を本能レベルで受け入れてるということだ。
絶対に大丈夫だとは思っていたけれど、想像以上に自分の手に馴染んでずっとずっと離したくないと思えた。
手をつないで一緒に歩く。素朴な田舎の風景がキラキラして見える。高台から二人きりでただ景色を眺める。このまま時間が止まればいいのにと、ドラマのような乙女ちっくなことを想っていた。
暗くなるまで一緒にいて何をしていても楽しかった。朝の待ち合わせから時間がワープしたように一瞬で夜になった。
ほどほどの時間で彼にどうやって帰る?と紳士的に帰る方法を聞かれたけれど、全然帰りたくなくてもっとずっと一緒にいたくて、その質問になんにも答えることができなかった。
1日デートは想像以上に楽しくて、彼も楽しかったよと伝えてくれた。これからもずっとずっと楽しく彼といたいけれど、私は本当に大丈夫なんだろうか。
彼に思いやりをもって、イヤな思いをさせないようにやっていけるだろうか。いたずらに恋愛経験だけが増えて、今まで好きになった人を全然幸せにしてあげられていない自分。
心配性で不安定な性格はずいぶんマシにはなったけど、根本的には変えられないし、彼が心を開いてくれるように自分はうまくやれるだろうか。
好きな人を幸せにしてあげられるくらい、自分は強くなっただろうか。こうやって不安ばかりが募っていって、彼の言動にも不安を感じるようになって、また自爆するんじゃないだろうか。
好きになればなるほど、楽しい時が増えれば増えるほど、不安も一緒に増えていく。大切な人を二度と失いたくないから。不安を打ち消すくらい強くなって努力しないといけない。