彼に見送られて海にでかける。へんてこりんな状況だったけど、会えたことの方がうれしくて暗い気持ちをかきけしていた。
海岸線を走る電車にゆられて海へ着く。明石大橋が目の前。海も静かで本当にいい場所だ。波の音を聴きながらキラキラひかる渚をぼーっと眺める。
持ってきたお弁当を食べて本を読んでお昼寝する。ぜいたくな時間。夕方には神戸空港へ夕日の写真を撮りに行った。神戸空港は思っていたより発着が多くて賑やかだった。
展望デッキで飛び立つ飛行機をいくつも見送って夕日が沈むのを待つ。超絶に雲が多くて夕日は一切撮れなかった。夏の終わりと恋の終わり。海風の中に感じる秋の気配。
悲しくて優しいその日常をぼんやりと眺めながら、過ぎていく夏と彼を想っていた。
海へ行く前に彼と会ったのはほんの少しの時間だけのこと。彼とは連絡もしていなかったし離れていきたかったけど、会いたい気持ちがある自分にうそはつけない。彼に会いたくてほいほい出かけてしまう弱い自分。
会いたい人に会えることは本当に幸せなことだと思う。もしかしたら自分の気持ちは勘違いで、再会したらスーっと気持ちが引いていかないだろうかってちょっと期待していたけれど。
だけど会って話すとやっぱり好きなんだなあと再確認しただけだった。やっぱり会わない方がよかったのかもしれない。
彼は悩みごとがあるみたいであまり元気がなさそうだった。友人として話を聞いてあげられたらよかったけど、今の私にはうまく聞いてあげられそうにない。
とりとめのない話をして彼が改札前まで送ってくれる。ずっと一緒にいてずっとずっととりとめのない時間を過ごしたかった。
少しの時間だったけどやっぱり居心地が良い。一緒にいるとしっくりくる感覚が不思議でしょうがない。