私は自分が内向的な性格のせいかオープンな性格の人に惹かれるタイプで、彼も例外ではなかった。感情豊かで自分の気持ちを話したり説明したり表現するのが上手な人だった。
私は自分の気持ちを相手に伝えるのがすごく苦手だった。典型的な長女気質で自分が我慢すればまるく収まるし、相手に合わせている方がラクという考え方の持ち主だった。
だけどそれじゃ本当の関係を築くことはできないと思って、彼には自分の気持ちを素直に伝えること、甘えたい時には素直に甘えることを意識して接していた。
彼はそんな私をまるごと受けとめてくれて、私はどんどん居心地がよくなり、いつしかそれが当たり前のことになって彼に甘えすぎていた。
彼は素直に自分を表現する人だったけど、決して自分本位ではなかった。まず相手がいて相手のことを思った上で自分を出す。私にはできなかったこと。
思いやりをもつ、ということ。
私は間違っていた。素直に自分を表現するってことは、ただ自分が思うことを言えばいいんじゃない。
相手のことを想って相手の立場に立って、その上で自分を表現しなきゃいけない。相手のことを想っていても、合わせてばかりで自分を押し殺すのはよくない。
自分自分になるのもよくない。相手を想って自分を持って、真摯に相手に向き合う。
当たり前のことなのに私は全然何もわかってなくて、彼にはもどかしく悲しい思いをさせてしまったと思う。こんな当たり前のことを自分はなんでできなかったんだろう。今まで表面的にしか人とつき合ってこなかった罰かな。
だけど今やっと気づけた。今となっては後の祭りだけれど、彼と離れて数ヶ月、考えに考えてやっとここまできた。