海岸に立って
想いを巡らせていた。
彼はずっとずっと長い間
海と波と共に生きてきた人。
太陽が昇るのを待って海に入り
刻々と変化する波に自分を合わせ
自然に自分を同化させて
自然に感謝して
生きてきた人。
そんな人と私が
なぜ惹かれ合ったのか。
私は自然は大好きだけど
基本的には都会で暮らして
都会で生きてきた人間。
自然は共存する存在ではなく
旅行や息抜きで出かける場所だった。
そんな私が
彼と海とサーフィンに出逢って。
サーフィンがこんなにも
自然と共に在るものだとは
夢にも思っていなかった。
波に乗る人を
自然と共に生きる人を目の当たりにして
私は自分で思ってた以上に
インパクトを受けていたんだと思う。
その生き方に感動して
憧れていたんだと思う。
ただ素直にひたすらに真っ直ぐに
波に向かっていく彼に
憧れていたんだと思う。
私は彼と出逢うまでは
立ちはだかる波に向かって
パドリングすることもなく
ただ沖に向かって流れるカレントに
身を任せて生きてきただけの人間だった。
カレントにハマった人間は
ただ流されて波にも乗れず
岸にも戻れず
ただクラゲみたいにふわふわと漂って
その内に消えていく。
※カレント、、潮の流れ