冬はあまり波が立たない場所らしく
一緒にいる間、彼がホームとしている海には
行く機会がなかった。
夏になったら一緒に行けると思って
楽しみにしていた。
彼のルーツ。
彼が育った海。
辛いこと楽しいこと
たくさんの想いがつまった
彼のふるさとの海。
行ったことはなかったけど
彼からたくさん話を聞いていた。
彼と離れてすぐ、一人で行った。
片道3時間はかかるけど
幸いにも普通電車で行けて
駅からも歩いて行ける海だった。
彼に会えなくて辛くて
だけどその海にいると
彼と一緒にいるような心地よさ。
初めて見たその海は波ひとつなく
とっても穏やかで私を包み込んでくれた。
渚がきらきら光るその海に
吸い込まれそうになって
このまま自然に吸い込まれて
消えてしまえればいいのにと思った。